鼠径ヘルニアは、お子さんの場合は予防することは難しいのですが、大人の場合は後天性であることが多いので予防することが可能です。以下のオプションを通じて鼠径ヘルニアを予防する方法を知る。
鼠径ヘルニアとは
まず初めに、鼠径ヘルニアとはどのような病気かについてご紹介します。
鼠径ヘルニアは、太ももの付け根(鼠径部)の筋肉に穴が開き、鼠径部の膨らみを認めるとともに、腸をはじめとした臓器が外に飛び出す病態を指します。
鼠径ヘルニアは小児によく見られる病気ですが、成人、特に40代以上の男性にも頻繁に発症します。
鼠径ヘルニアは自然治癒することはなく、治療には手術が必要です。
ヘルニアバンドで穴を防ぐなどの対策がありますが、日常生活を送る中で適切に穴を防ぎ続けることは実質的に困難です。
鼠径ヘルニアは予防できる?
鼠径ヘルニアを予防するための確実な方法は現在確立されていません。
しかしながら、鼠径ヘルニアの一因とされている肥満や喫煙に対するアプローチ、つまり、内臓脂肪を減らすこと(ダイエット)や禁煙を行うことは、その予防に寄与すると考えられています。
日常生活においては、腹圧がかかる動作や状況を避けることが重要です。具体的には、重たい物を持ち上げる動作を控えめにしたり、立ち続ける時間を減らすよう心がけると良いでしょう。
一部の鼠径ヘルニアの患者さんからは、「筋肉を鍛えれば、鼠径部のヘルニアが出なくなるのでは?」あるいは「筋肉がつけば、鼠径部のヘルニアの穴を塞ぐことができるのでは?」という意見を耳にすることもあります。しかし、鼠径ヘルニアの穴が開くのは筋肉ではなく、筋膜という部分です。筋肉は鍛えることで強くすることができますが、筋膜を鍛えて強くすることはできません。
スポーツでの激しい動きや筋力トレーニングを行うことで腹部に強い圧力がかかると、逆に鼠径ヘルニアを引き起こす可能性がありますので注意が必要です。
鼠径ヘルニアの病状を悪化させないために
鼠径ヘルニアの病状を悪化させないためには、肥満を避け、禁煙をすることが重要です。内臓脂肪が増加すると、その重みが鼠径ヘルニアの負担となります。また、喫煙者は鼠径ヘルニアのリスクが高まるとされており、禁煙は鼠径ヘルニアの悪化を防ぐ可能性があります。
さらに、腹圧がかかる動作を控えることも大切です。腹筋などの筋力トレーニングや重い物を持つ行為など、強い腹圧がかかる状況は鼠径ヘルニアの悪化を引き起こす可能性があります。
そのような中で最も重要なのは、早期の診断と治療です。
鼠径ヘルニアが放置されると、鼠径部に生じた筋肉の穴に腸が詰まり、抜け出せなくなる「嵌頓」という状態を引き起こすことがあります。この嵌頓は、時に命にかかわる状況を招く可能性があります。したがって、早期に医療機関で診断し、適切な治療を受けることを強くお勧めします。